2012年12月27日木曜日

人との距離感


去年の9月にケニアへ行ったとき、正直ブラックアフリカは肌に合わないと思った。
そのときはモヤモヤしていて具体的に理由がわからなかったけれど、それまで行ったアジアや中東やヨーロッパとかと違って、ここには住めないなと直感的に感じた。
なのに今、ケニアの隣のウガンダに住んでいるんだけど。

でもやっぱり、ウガンダに来たときは「うわーここに二年住むのかー」って思うことが結構あって。
その一つがムズング攻撃。
「ムズング」は元々スワヒリ語で「白人、西洋人」を指すとホストシスターは言ってた。
あらゆる人が、老若男女問わず、「ムズング!ムズング!」って言ってくる。
というか叫んでくる。
「チャイナ!」の場合もあり。
これが私はすごく嫌で、「ムズングじゃないし!」とか「ジャパンだし!」とか思っていたり、時には口にしたりしていたんだけど。
毎日毎日、朝、家の敷地を一歩でも出た瞬間から、帰ってくるまでの間に何度も何度も言われるわけで、そしたら疲れてもくるわけで。
これが2年続くのかと思うと、心もどんよりしてくる。


そしてちょうど任地の生活で1週間が過ぎた頃、さすがに我慢ができなくなった。
いつもは無視して通り過ぎるんだけども、その日は思い切って
「ムジュングーーー!」って毎日叫んでくるちびっこたちのところに突撃訪問してみた。
近づいて行ったらなんかもう、ちびっこ泣きそう。いやいや呼んだのそっちじゃん。

そんなことを思ってたらちびっこのおばあちゃんがやって来て、 
「この子達あなたのことがよっぽど好きなのね。だからいつも呼んでたのよ」と。
ちょっとそれで、腑に落ちたかんじ。

「ムズング」と呼ばれることで、「黒人である彼ら」と「黒人ではないその他の私」として雑多に括られてしまっているようで、すごくそれが嫌だった。
そうやって「ムズング」と呼ばれて「距離」があって省かれているはずなのに、
次の瞬間にはフレンドリーに “ How are you Madam?” って聞かれたり、
そうかと思いきやチャイニーズと揶揄されたり、

省きたいのか
友人になりたいのか
それとも特別扱いなのか

一体彼らが何を考えているのか、さっぱりわからない。
どんな距離感を望んでいるのか、理解できない。
それがケニアで感じた嫌悪感の正体だったよう。

カルチャーショックすぎて、カルチャーショックだって気付くのにすごく時間がかかった。

でも、おばあちゃんのひとことで少しだけ、歩み寄れたかもしれない。

ウガンダは、日本とは全然違う。
アジアの国々のように顔つきや肌の色が似ているわけでもなく
食べ物も文化も言語も共通点があるわけでもなく
ヨーロッパやアメリカのように生活様式が似ているわけでもなく
オセアニアの島国ほど日本に近いわけでもなく
本当に、日本と離れている。何もかも。
それはウガンダ人でも同じようで、彼らにとっても日本は遠い。
日本人なら中国語も話せると思っている人も多いし、日本人も犬を食べるんだろうと言われるし、日本人と中国人と韓国人は全く同じだと思っている人もたくさんいる。
だけどわたしにとってもウガンダ人とケニア人とタンザニア人は同じに見えるから、これはもうお互い様なのかも。

遠いものはしょうがない。
でも、旅行ではなく、2年間この地に住むことで
この地の人々と一緒に仕事をしていくことで
こうやって少しずつ、距離が縮まっていくのを感じられるんだろうな。




クリスマス!クリスマス!ってあんなに家族も浮き足立っていたのに、
意外とあっけなく終わって、
わたしもウガンダ滞在3ヶ月を無事に迎えました。
クリスマス当日は挨拶にメリークリスマスが加わっただけで、
いつもと何の代わり映えのしないご飯で
あえて言うなら品数と量がはんぱなく増えたくらいだったんだけれど、
みんなで作ってみんなで食べて
家のソファでぐうたらして
外のベンチでおしゃべりして
いつもの日常と変わりない感じがいいのかも。

こんな勢いで2012年もおわりで2013年を迎えそう。
来年はもっとどっぷりウガンダに浸るんだろうなあ。
今年もたくさんの人へありがとう!
来年もよろしくね!

Have a wonderful new year;-)




(帰ってきたら子豚が産まれてたー!)



2012年12月15日土曜日

シピ小旅行記


ウガンダに来て早くも三ヶ月目。
そして任地に来て一ヶ月ちょっと。
来て一週間目は同僚も近所の人も同じ顔に見えて、パニック。
それに今はお米のシーズンじゃないこともありフィールドへ行けずパニック。
さらにカウンターパートと呼ばれる一緒に仕事するはずのスタッフが、同じ配属先じゃないから、なかなかコネクションとれずパニック。

いろいろあった一ヶ月だけど過ぎるとあっという間。
そして一ヶ月も経つと少しずつ周りも見えきて、
職場以外の繋がりも増えて、活動の目処も立ってきたところ。
いろんなポテンシャルを持っているこの地域で、何かが残せればいいな。


そんなこんなで久々にリフレッシュしよう!ということで、先日ウガンダの観光名所の一つ、シピ滝へ同期隊員といってきました。
わたしの任地ムバレから乗り合いタクシーに揺られること1時間半。

の予定が、途中で警察に捕まった。



なんでも人を乗せすぎたかららしい。
でも、今までハイエースに子ども含めて26人乗っても止められたことなかったのにな。
30分くらい止められて、なんとポリスは車のナンバーびりびりっと剥がして通してくれました。
帰りに罰金を支払うことと引き換えにナンバーを返してもらえるとか。
不運な運転手…

時間がかかったけれど無事にロッジへ到着!


ロッジは滝のすぐそばで


抜群の景色も楽しめる◎



そして到着早々、ここ一番のアトラクションにチャレンジ!
その名もアブセーリング。
滝の横を、ロープ一本で下って行くアトラクション。
最初の一歩が怖かった…
まるで人生の縮図。
でも一歩踏み出してみたら、案外平気で、
進むうちに楽しくなって、景色を独り占め!!
岩肌に映る自分の影と、滝の水しぶきと、ウガンダの緑溢れる平原がとっても綺麗。そして着地するときに滝の水しぶきに丸い虹が見えました。
なんとも神秘的。

カメラを持って行ってなかったから写真がないのが残念だけど、
見たい人はぜひウガンダへお越しを!

約100mをロープ一本で降りられたから、これからなんでも乗り越えて行けそう。
でも本当に大変だったのは、降りるのよりも登る方だった…もう泥だらけで斜面をひたすら登る登る。。それでも、やる価値は十分ありです。



シピ滝は3つあって、ロッジにあるのがそのひとつ。
次の日には残りの二つを見にトレッキングへ。


村を抜けて
山を分け入ったところにある二つ目の滝は、
二手に分かれている巨大な滝。


この滝の水のおかげて、一面のキャベツ畑が広がる程このあたりは非常に肥沃な土地みたい。


もう一つの滝も二手に割れた立派な滝で

裏にいくとこんなかんじ。


マイナスイオンを存分に浴びたつかの間のバケーションでした◎

2012年12月5日水曜日

サカムシジョンのシーズン



世界中、いまはクリスマスソングが鳴り響く時期だけれど、

ここムバレでは割礼ソングが鳴り響いています。

いまがまさに割礼シーズン真っ最中。
8月から12月が割礼の時期ではあるけれども、子どもたちの学校が終わる12月が最盛期。
「なんで学校終わってからじゃなきゃだめなの?」
ってホストシスターに聞いたら、大爆笑ののち
「だって痛いじゃない!」って。そりゃそうか。
そしてやはり痛いからという理由で、割礼が終わったあとの男の子はチテンジという伝統的な布をスカートみたいに巻いている。


だから「この子割礼終わったのね」と周囲は分かる。


ムバレ周辺に多く住むギス族の男性は、割礼が通過儀礼として今も残っている。だいたい1 3歳から18歳くらいが対象。
でもいつやるかは本人の意思によって決められる。
っていっても、18歳になったら「今年やるんだろ?」と周りから圧力がかかるんだけれど。
男子割礼は、性感染病を防ぐことからウガンダ政府が推奨するほど。
けれども一方で女子割礼は法律で禁止されているみたい。

ほかの部族は必須ではないけれど、ギス族の男性は絶対しなきゃいけない。
割礼しないと成人として認められず、ブセラを飲めないし、結婚もできない。
でも割礼を怖がって逃げちゃう子もいるのだとか。
昔は逃げ切れていたようだけど、今は簡単に見つかっちゃうらしく、かわいそうというかなんと言うか…

先日もやはり、タウンで買い物中に割礼ソング、カド ディ(Kadodi)が聞こえてきた。
一人だと行けないけれど、たまたま同期も一緒にいたし、せっかくなのでついて行ってみました。


割礼の前には、音楽隊と一緒に村をパレードして「これから割礼します」ということを近所に伝える。
そしてそのあと、家のまえまで帰って来て、家族、親戚、ご近所さんなど村人その他が見守るなかで割礼する。
道中で 会ったお兄ちゃんが「彼(割礼する男の子)の家はすぐそこだよ」というのを鵜呑みにしてしまったばかりに、永遠と歩き続けること30分以上。


のどもカラカラだし足も痛いし、
いろいろ後悔し始めたころに、やっと家付近に到着。

すごい人、人、人!


木の上にまでよじのぼる。



もう見守るというか、見せしめなんじゃないかというほど…
近頃これに不快感を感じる親もいるようで、小さいときに終わらせてしまったり、または衛生的に問題がある(刀を使い回したりするため)として病院でやる子も増えているみたい。まあどっちにしても「割礼をしない」という選択肢はないんだけれどね。

わたしたちが近づくと、ムズングだーということでなぜか一番よく見えてしまう場所へ案内された。

隣にはナイフを持った村長。


そして割礼をする男の子がやってくると、熱気はピークに。

もし泣いたり声を出したりしたら、周りの男性が枝で体を叩くそう。
でもこの子は全く弱みをみせず、
とても勇敢に終わらせました。
よくがん ばった!


ウガンダにきて、 ウガンダ人 の持つ世界観や 価値観と、日本人のわたしが持つのとは根本的に違うことがすごく多い 。
いままで 行ったどの国よりも。滞在期間が長いのも あるだろうけれど。

この割礼もその一つ。

本やテレビで見るんじゃなく、自分の目の前でそういうことがあると
私の理解の範疇を超えているから、なんか消化不良みたいになる。

でも、こんな世界もあるのかーと受け入れることが大事なんだろうな。