先日、友人が家の近くまで遊びにきてくれて「交差点近くのレストランで待ってる」と電話越しに言われて、そんなとこあったっけ?と思った。それもそのはず、1週間まえにできたばかりらしい。
レストランの店先で「Mulenbe!」とマサバ語であいさつしてもお店番のママはきょとんとしてる。いつもならマサバ語話すのかー!とウケるはずなのに。
なんでなんで?と思っていたら、「彼らソマリアから来たんだって!」と友人が教えてくれた。レストランの壁にはスカイブルーの長方形に白い星。それがソマリアの国旗だと気付いたのは地図帳を開いた後のこと。
その時飲んだちょっとスパイシーで甘い、アラブ世界の味がしたミルクティーが大好きになって、それからよく通うようになった。
ソマリアと聞いて最初に浮かんだのは「海賊」
でもその他のことは全然しらない。
どんな言葉を話すのか?
どんな食べ物を食べるのか?
どんな家に住んでどんな生活をするのか?
そもそもどこにあるの?
知りたいことは山ほどある。
このレストランで働いている女の子のファティックは19歳。彼女の家族は争いを逃れてウガンダに来たらしい。ムバレはイスラム教徒が多いのもあって、ソマリアから来た人々が大勢住んでいると言う。確かに時々街で褐色の肌の人や全身真っ黒のベールに身を包んだ女性を見かけていて、てっきりウガンダ人かと思っていたけれどソマリア人だったよう。後で調べて知ったけど、ソマリアは90年代から内戦が続いていて今は無政府状態。その争いを逃れて隣国のケニア、タンザニア、ウガンダなどの東アフリカでビジネスをしているソマリア人が大勢いるらしい。そしてまた地図を見て知ったけど、ソマリアはケニアを挟んでウガンダのお隣、ご近所の国。日本にいたら「アフリカのどっかでしょー」と思うけれど、ウガンダに住んでいると「なんだ近くじゃん!」と簡単に親近感を抱ける。
英語と、10個くらい知っているアラビア語単語と、5個くらい知っているスワヒリ語単語と、習い立てのソマリ語を駆使するファティックとの会話はなんだか旅行に来たようですごく楽しい!
家族のこと、毎日のお祈りのこと、ご飯のこと、おしゃれのこと。
どこの国でも変わらない、ティーンエイジャーの楽しい会話。
ソマリ語はアルファベット表記だけれど、発音や声調はアラビア語に似ていて、歌のようなとても美しい響き。
ウガンダでは英語が公用語で、村であっても誰かしら英語が分かる人がいるからコミュニケーションにあまり苦労しない。でも言葉では理解し合えているのに、根本が理解し合えていないような些細なことが最近多かった。言葉が通じているのに思いが伝わらないことはとてももどかしい。そうやって悶々としていたけれど、ソマリア人の彼らとあまり言葉に頼らないコミュニケーションをしていると、これでもいいのかーとなんか吹っ切れた。
「日本のパスポートを持っていたら、どこの国でも簡単に行けるでしょう?ソマリアはとっても美しい国だから絶対遊びにきてね!インシャアッラー!」とファティックは無邪気に言ってくれた。
記念に、とくれたソマリアの紙幣。これを持ってソマリアの街を歩ける日がいつか来てほしいな。