2013年8月31日土曜日

難民居住区のはなし


ウガンダ国内にはいくつか難民居住区があります。
縁あって、そのうちのひとつ、ウガンダ西部のイシンジロ県にある難民居住区を訪ねることができました。
この難民居住区はもうできて50年くらい経つとのこと。
暮らしている難民の方々は、スーダン、ソマリア、コンゴ、リベリア、エチオピアなどさまざま。
もう長いこと難民居住区となっているだけあり、それぞれの出身地域ごとに居住区も整備されていました。




雑貨屋さんもあったり

ソマリアからの難民であるアリマさんにアテンドをしていただいて、ソマリア地区、エチオピア地区、コンゴ地区を訪問。
アリマさんは大学まで出た優秀な女性で、英語がとても流暢。
そしてソマリアは元イタリア統治であったためイタリア語も流暢でソマリ語も話すのでトリリンガル!
ソマリアはもう長いこと無政府状態が続いていて、アリマさんはこの難民居住区に避難してもう20年以上が経つとのこと。


イスラム教徒であるソマリア人の居住区は、高い薮で塀が作ってあって、家が外から見えないように工夫が。



一件のお宅にお邪魔させてもらうと、小さな庭もあるけれど狭い2部屋に2家族が住んでいたりしていて、とても満足できる生活状態じゃない。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によってお米などが支給されることもあるけれど、基本的には食料や衣料品は自分たちで調達するそう。ソマリア人の主食はお米やパスタだけれど、ウガンダでは高いために安く手に入るマトケやポショを食べることも多いみたい。


水を汲むのも一苦労

居住区内には雑貨屋さんやサロンなどウガンダの村のように、お店屋さんもあって、そこで働いている人ももちろんいるけれど、それでも仕事不足は深刻。



コンゴ難民の女性たちはわずかな収入のために刺繍をしていた

それに居住区内に小学校はいくつかあるけれど、中学校は1校のみで多くの場合女の子は行けない。男の子でも学費が払えない場合が多く、小学校を卒業しても家にいることが多い。



いつ、終わるかわからないこの生活に、彼らはどうやって希望を見いだしているんだろう。
そんなことが悶々とあたまに浮かんだりした。
難民居住区ではゲリラからの襲撃はないし、身の危険からは逃げられる。
UNHCRをはじめ日本政府も援助をしているし、他の国や団体の援助でなんとか食べても行ける。
でも、それだけで「平和」だと言い切ることはできなくて。
家族と一緒にいられること、いることで幸せを感じられること、学校で教育を受けられること、仕事があること。
こんなふうに自分の居場所があることが大切。
いろんな、複雑な要素が組み合わさってはじめて平和って達成されるんだな、って気付いた。



数時間の滞在で見える部分はほんの少しだけれど、それでもたくさん勉強になった。
オーガナイズしてくれた隊員と受け入れてくれた難民居住区のみなさまに感謝!

2013年8月24日土曜日

エルゴン登山


今月はじめ、3泊4日で近くにあるエルゴン山へ登ってきました。
ウガンダで1番目に高いのがルウェンゾリ山、5109m
そして2番目に高いのがこのエルゴン山、4321m
なんとオリンピックの陸上金メダリストであるウガンダ人、キプロティッチの出身地はこの近くです。
そりゃ足速くなるわ、という生活環境。


3泊4日の登山でガイドをしてくれたのはヨコハマさん(本名アハメッド)28歳。



ウガンダ名を持つわたしたちを真似してか、自分の日本名はヨコハマだ、と名乗ってすっかり定着。
雨が降ったらバナナやヤムイモの葉っぱを傘代わりにしていて、なんともたくましいガイドでした。


まず第1日目は朝7:30に宿を出て、ヨコハマとともに登山口へ。
別に登山口らしい登山口はなくて、とりあえず民家の合間を歩く。



1時間くらい歩いて、やっと民家を抜けて丘がちな道を登る。
と、雨が降り出す。。。
1時間近く足止めを食らいつつも、雨の中歩いてキャンプ地についたのは夕方近く。
1日目のキャンプサイトは2900m
そして雨の制ですっかり体が冷えてしまったけど、夕食に作ったリゾットで温まる。
温かいものを食べれる幸せを噛み締めたのでした。

2日目はのんびり9時ごろに出発。
前夜にメンバーの一人が体調不良でどうなることかとハラハラしたけれど、無事に回復して登山続行!
1日目とは打って変わって、熱帯雨林のなかをひたすら登る。



でもときどき竹が生えてたりして、アフリカにいることを忘れてしまうような風景。
幸運にも天気が良くて青空も垣間みられるなか、3時すぎに3500mのキャンプサイトへ到着。
3000mを越すとだんだん息がきつくなってきて、3500mのキャンプサイトではちょっとした斜面を登るだけで息が切れる。。。
3500mといえば富士山の頂上よりちょっと低いくらい。
そりゃ酸素も少なくなってるわけで。
常に深呼吸をする状況で息苦しい。
登山二日目ともなれば疲れも溜まってるだろうし、次の日がアタックだから早く寝よう、ということで明るいうちにテントに入ったものの。
狭いテントと息苦しさで上手く寝付けないし、なんか暑い…


何度も目を覚ましながら迎えた3日目の朝。
体温を測ると37.7℃…!
でもここまで来たんだし、なんとしても頂上に行きたい!
っと思ってとりあえず解熱剤を飲んで頂上アタックスタート。
お昼過ぎにはキャンプ地に戻って来れるよ、というヨコハマの言葉を信じて、朝7時にキャンプ地出発。


 幸運なことに清々しく晴れて、息苦しいけど綺麗な眺め。

そろそろ、ジャクソンズ・プールと呼ばれる湖が見えるよ、もうすぐ、もうすぐ、
と言われ続けて11時になり、ようやく到着。標高4050m



新鮮な湖の景色に加えて4000m突破に嬉しい反面、頂上の4321mにはいつ着けるんだろう、と疑いはじめる…
ここからが長かった…

もうすぐだよ、と言うヨコハマの言葉を裏付けたくて、
次々に目に入る高い丘が頂上じゃないかと言いながらそこに向かいつつ、
あっさり追い越してしまうことを何度も何度も繰り返す…



出発時に晴れていた天気も、お昼を過ぎるとだんだん雲行きが怪しくなってきて、標高が上がったのもあってか、霧のなかをひたすら進む。



本当に、心が折れそうだったー

もう、ここが頂上でもいいんじゃない?
みたいなやり取りを何度もしながら、それでも一歩一歩進めて行く。

そしてついに3時半すぎ、ようやくエルゴン山頂上4321mに到着!



ちょうど雲も晴れて素晴らしい景色も堪能。
そして麓から持ってきたハイネケンも堪能。
3日かけて一歩一歩登ってきただけに、感動もひときわ。
みんなで写真とってはしゃいで、登頂の喜びを噛み締めたのでした。

でもそれもつかの間。
登って来たからには、当然降りなければならなくて。
7時には日が暮れてしまうから、そのまえにはキャンプに戻らなくちゃいけない、ということで、
8時間以上かけてきた道を一気に下る。
いつまでたっても帰ってこない私たちを心配してくれて、キャンプ地で待っていた荷物運びのポーターたちが途中まで迎えにきてくれていて、そんな優しさにもちょっと感動。
そして午後7時、無事に3500mのキャンプサイトまで戻って来れたのでした。
この夜は登頂達成に安心したのもあり、高度順応していたのもあり、ぐっすり眠って体調も回復。
素晴らしい星空と流れ星も見れました。

最終日は8時にキャンプを出発して、11時には初日のキャンプサイト2900m地点に到着。
上手く行けば2時ごろには登山口周辺に着くかな、と思いきや雨。
足場が滑るし激しい雨で斜面の道はまるで川…
慎重に降りたこともあり、登山口に着いたのは午後4時ごろ。
体中がすっかり冷えて疲れきっていたけれど、それでも達成感で充実した心持ちなのでした。

それからムバレタウンに戻ってホットシャワーで芯から体を温めて、おいしいインドカレーで胃を満たして、ふつうに暮らせる喜びをこころから味わったのでした。

ひとりだったら、絶対途中であきらめていたな、と思う。
応援してくれた周りのみなさまと、とくに一緒に登ってくれた隊員仲間に感謝!
ほんとにいろいろあったけど、今思えば良い思い出◎
ありがとう!


しばらく登山はいいかなーと言いたいところだけれど、来月はアフリカ最高峰、タンザニアのキリマンジャロ山にチャレンジ(笑)
日本には存在しない高さだからね!
今のうちに行っとかないと!
無事登頂目指して、トレーニングのランニングもがんばる!

2013年8月7日水曜日

灌漑プロジェクトとワークショップ

さいきん慌ただしかった理由のひとつが、ビジターがたくさんいたこと。
でもたくさんの人が任地を訪れてくれることは無条件でとても嬉しい。
それが日本人ならなおのこと!

先月末、灌漑システム整備のプロジェクト視察団がわたしの任地にも来てくださいました。




ウガンダの東部地域を中心に、灌漑整備による農業振興をはかるこのプロジェクトは、ウガンダ政府とJICAによって進められています。
幸運なことにわたしの任地ムバレ県ナカロケ郡もプロジェクト地域になりそうで、今回その視察が入りました。
駐在の方も、日本からわざわざ来た方もそれぞれでしたが、一気に6人も日本人が小さなウガンダの村に来たのだから、ものすごく目立った(笑)


前回の雨期では、特に陸稲でチャレンジした農家さんでは残念ながら収穫がほとんどなかったところが多かった。
その理由が水の不足。
雨に頼っている農業だから、雨が降らなくなったとたん何もできない。
湿地帯で日本のように田んぼを作って栽培もできるけれど「きれいに田んぼをつくる」ってことはそう簡単じゃない。
どこを「きれいに」するかが難しくて、ウガンダ人が作る田んぼは水の通り道が上手く確保できていなくて水はけが悪かったり、高低差にムラがあって水が多すぎたり少なすぎたりしてしまう。
でもこのプロジェクトで湿地帯の水の通り道がきちんと確保されて、湿地の高低差が均一になれば、水が通らなくて困ったり、逆に水はけが悪くなったり、あるいは一気に雨が降って種が流れたりとか、そういう心配なく稲作ができるようになる。
もちろん環境に対する配慮もするので、水源もしっかり守られる。
時間もお金もかかるわけだけれど、上手くいくと稲作の効率はものすごく上がるだろうなー。

そんなかんじでたくさん勉強させてもらい、ウガンダの稲作のポテンシャルを感じつつ、
きのうはウガンダ人スタッフによる稲作ワークショップがありました。




やっぱり、彼らの母語でやると集中力も一段と良い。
説得力もぜんぜん違う。

20名あまりが来てくれて、お米の種1kgと育て方を心得ていきました。
参加者は女性が半数以上いて、タウンに近いこの地域では男性が街で働く分、女性が農業を引っ張ってるんだなと実感。



こうやって、スタッフも農民も一緒になって、ウガンダの人たちが稲作に意欲を示しているのは良い傾向なのかもしれない。
すぐには成果はでないけれど、それでも少しずつ、なんだか前に進んでいるみたい。


2013年8月1日木曜日

エンテベZOO

連日、ブログネタがたくさんあったのに、忙しさと体調不良でアップできず…
8月はたくさん更新めざします!

というわけで先々週くらいのはなしですが。


アフリカといえば大草原のなかで動物たちを見るサファリが観光の目玉ではあるのだけれど、もちろん動物園もあります。
ウガンダでは、国際空港があるエンテベに大きな動物園があります。

いま、その動物園に日本から短期ボランティアとしてゾウの飼育をされている方がいらっしゃるので、いざ、行ってきました!

動物園には日本では見られない珍しい動物たちがたくさん!
ふつうのキリンに見えるけれど柄が足のほうにはない、ウガンダ固有のキリンに、



あまり動かないことで知られている(でも動くし飛ぶ)ハシビロコウに




かわいい顔して牙の鋭いカワウソに


絶滅危惧種のシロサイも!





ほかにもキリンにエサをあげたり、蛇も触れたり、特別にいろんな動物たちとふれあいもさせていただき、大興奮!

そしてとりわけ愛らしかったのがゾウのチャールズくん!



お母さんゾウが密猟にやられてしまい、保護されたチャールズくん。
いま2歳くらいだそうです。でも450キロくらい!大きい!

つぶらな瞳と自由自在の鼻がかわいい!

でもチャールズくんのように、密猟で親が殺されてしまうケースが少なくないんだとか。
それもゾウやサイは牙、ヒョウは毛皮目的に密猟する場合もあるけれど、それだけでなくこうした動物の肉をBush meatとして現地の人々が食べている現実もある。
もちろん違法ではあるけれど、Bush meatがあるからこそ成り立っている現地の人々の生活もあるのかもしれない。
こうしたことを踏まえて、エンテベ動物園では野生動物をこうした危機から守るために保全教育にも力を入れているそうです。

サファリもいいけれど、こうやってじっくり動物たちを観察したり、かれらのバックグラウンドに耳を傾けるのもとても興味深い。
とても勉強になりました。

エンテベZOOは空港のすぐ近くだし、展示もウガンダ国内のナショナルパークごとに区切られていたりと、サファリ前の予習にもってこい◎
ウガンダにお越しの際はぜひお立ち寄りください☆